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脱・属人プログラム — 学習ノート

AIの記憶のしくみと、
第二の脳のつくり方

— ローカル整理 → GitHub → 自動化 → セキュリティの4ステップで作る

Claude Codeは何をどこに覚えているのか。消えない置き方、Keep・Notion・Drive・GitHubの使い分け、そして .env/deny封印/パスワード金庫によるAPIキー保護まで——非エンジニアのための整理ノート。

2026.07.05 作成 / 実際の環境(Windows+Claude Code)を例に

この話の結論(3つだけ)
  1. 正本(マスター)は「ただのテキスト=Markdown」で持つ
    どのAI・どのアプリでも読める。特定サービスと運命共同体にならない
  2. PCの外にコピーを持つ(Private GitHub)
    壊れても消えない。履歴が残るので「消して後悔」もない
  3. 入力はラクな場所でいい。面倒な転記・整理はAIの仕事
    スマホで頑張ってMarkdownを書く必要はない

はじめに

全体像 — これから作る「完成形」と4つのステップ

細かい説明に入る前に、これから何を作るのか(ゴール)どんな順番で作るのかを先に見ておきます。ここが全体の地図です。

まず完成形(今は眺めるだけでOK)これから作る「第二の脳」を1枚にすると、下の形です。いま細かく分からなくて大丈夫——この地図の各パーツを、これから1ステップずつ埋めていきます。読み方は3つだけ:✅自動=2時間ごとに勝手にGitHubへ/✅手動=自分の区切りで/🔒=上げない
🏢 “コーポレート” = AI専用フォルダ ~/.claude (全プロジェクト共通・Claude Codeが自動で作る) ├─ 📄 CLAUDE.md 共通ルール(秘伝のタレ) ├─ 📁 memory\ ✅自動 ← 記憶=第二の脳 │ ├─ 📄 MEMORY.md 目次(この名前は固定) │ ├─ 📄 自己紹介.md ┐ │ └─ 📄 会社のルール.md … ┘ 1メモ=1ファイル※実際は ~/.claude\projects\○○\memory\ と少し奥。“1か所にまとめる設定”で常にここ1つ。 └─ 📁 skills\ ✅自動 ← AIの道具(スキル) 🏬 “事業部” = あなたの作業場 C:\dev\ ├─ 📁 プロジェクトA\ ✅手動 ← 成果物・コード └─ 📁 プロジェクトB\ ✅手動 ← 〃 🔒 .env・鍵・ログイン等の“秘密” 上げない (大元=パスワード金庫〈例:Bitwarden〉/.gitignoreで自動除外)

図|第二の脳の「お手本の型」(完成形)— コーポレート(.claude)と事業部(dev)、上げる/上げないの3ルール

先に「作る手段」も知っておく(コピペ1本)この完成形は、「完全版初期設定プロンプト」を1回貼るだけで作れます(全文は教材 「Claude Code 導入ロードマップ」 に掲載。AIが環境を調べ、質問しながら1ステップずつ作ってくれます)。このノートの以降の章は「そのプロンプトが何をしているのか」の解説です——先にゴールとプロンプトを知って、仕組みはあとから理解する読み方でOK。

完全版 — 実際の粒度での完成形(「どのCLAUDE.mdの話?」で迷子にならない地図)

上の型は簡略版です。実際には同じ名前のファイルが複数の場所に登場するため、ここで一度、端折らずに全部書きます。以降の章や他の教材で迷ったら、この図に戻ってきてください。

【あなたのPC】 📁 C:\Users\〈名前〉\.claude\ ← AI専用フォルダ(Claude Codeが自動で作る) ├─ 📄 CLAUDE.md ─────────── ★ルール①:あなた全体のルール(どこで起動しても毎回自動で読む) ├─ 📄 settings.json ────── 設定(deny封印・記憶の一本化の設定はここ)🔒上げない ├─ 📄 .credentials.json ── ログイン情報 🔒上げない ├─ 📁 skills\ ──────────── AIの道具(自作スキル)。ルール①の控えもここに保存 └─ 📁 projects\ └─ 📁 c--dev-claude\ ←「C:\dev\claude」をClaude Codeが機械的に変換した名前 └─ 📁 memory\ ──── ★記憶の実体はここ(一本化=「常にこの1か所に書く」設定) ├─ 📄 MEMORY.md ─ 記憶の目次(名前固定・毎回自動で読む) └─ 📄 ◯◯.md ──── 1メモ=1ファイル。中身は「要点+詳細は△△.mdを見ろ」の付箋。 付箋が指す先=下の作業場にある仕事の本体ファイル ※一本化していない場合:起動フォルダごとに 📁c--work-clientA\ などが この projects\ の下に増えていき、それぞれの中に memory\ ができる(=散らばる、の正体。 作業フォルダ側(C:\dev等)に記憶ファイルが作られるわけではない) 📁 C:\dev\ ← あなたの作業場(自分で作る) ├─ 📁 プロジェクトA\ │ ├─ 📄 CLAUDE.md ────── ★ルール②:この案件だけのルール(このフォルダで起動した時だけ自動で読む) │ ├─ 📄 計画・進行の.md ─ 仕事の本体ファイル(memoryの付箋が指す先はコレ) │ ├─ 📄 .gitignore ───── 秘密を上げないリスト(プロジェクトごとに1個) │ └─ 📄 .env ─────────── 🔒秘密(どこにも上げない) ├─ 📁 プロジェクトB\ ────── 同じ構成 └─ 📁 shared-brain\ ─────── (会社で使う場合だけ)共有脳のclone ├─ 📄 CLAUDE.md ────── ★ルール③:会社のルール └─ 📁 knowledge\ ───── 会社の知識 ├─ 📄 INDEX.md ── 会社の知識の目次(MEMORY.mdの会社版のような役割。ただし自動では読まれない) └─ 📄 ◯◯.md ──── テーマ別の知識(1テーマ=1ファイル・読めば完結の形で書く) 【GitHub(すべてPrivate)】 【PC側との対応】 ※GitHubの中に階層はない(リポが横に並ぶだけ)。「誰の箱か」は場所でなく持ち主と権限で決まる ◆会社の共有の箱 (会社利用の場合だけ。Organization所有・全社で1つ。下の“あなたの箱”とは別のリポ) 📦 shared-brain ────── ▼pull(読むだけ)─────➡ C:\dev\shared-brain\ (あなたのPCへ“取り寄せる”だけの一方通行。ここへpushするのは オーナー(管理人)だけ。中身は“読めば完結”のMarkdown—— 個人memoryのような「◯◯リポを見ろ」という付箋型では入れない) ◆あなたの箱 (1人でも会社利用でも=自分の個人アカウント。 ※会社利用で変わるのは1つだけ=プロジェクトA・Bのリポ(成果)が会社のOrganization側に移る。 memory-backup/skills-backup(手帳の控え)は会社利用でも自分の個人アカウントのまま =「手帳は自分の箱・教科書と成果は会社の箱」。チーム利用ではリポ名を memory-〈名前〉/skills-〈名前〉にするのが推奨) 📦 memory-backup ──── ⬅ ✅2時間ごと自動push ── projects\c--dev-claude\memory\ 📦 skills-backup ──── ⬅ ✅2時間ごと自動push ── skills\(ルール①〈~/.claude内のCLAUDE.md〉の控えも一緒に上がる) 📦 プロジェクトAのリポ ⬅ ✅手動push ─────────── C:\dev\プロジェクトA\ ルール②〈プロジェクト内のCLAUDE.md〉や本体の.mdはリポと一緒に上がる=担当が変わっても残る) 📦 プロジェクトBのリポ ⬅ ✅手動push ─────────── C:\dev\プロジェクトB\ 🔒 どこにも上がらない:.env/.credentials.json/settings.json(denyの控えだけskillsへ)

図|完全版の完成形 — 同名ファイルの場所と、GitHubとの対応を端折らず全部

とくに混同しやすい「同じ名前・似た名前で別物」はこれだけあります。中身の例で覚えるのが早いです:

名前いくつあるそれぞれ何者か中身の例
CLAUDE.md
~/.claude内)
1つあなた全体のルール(完成形の図の★ルール①)。全案件共通の決まりごとはここに書く「返答は日本語で」「新規プロジェクトには必ず.gitignoreを作る」「git add . は使わない」
CLAUDE.md
(各プロジェクト直下)
案件ごとに任意その案件だけのルール(完成形の図の★ルール②。必要な案件だけ作る)「この動画は肉声収録(TTS禁止)」「進捗は SALES_PROGRESS.md に記録する」
CLAUDE.md
(shared-brain内)
1つ(会社のみ)会社のルール(完成形の図の★ルール③「業務リポは会社のOrganizationに作る」「秘密はチャットに貼らない」
MEMORY.md1つ記憶の目次。memory\ の中(名前固定)「- [テンプレ販売の進行](project_template_sales.md) — 詳細はリポ側を確認」の1行×メモの数
◯◯.md(memory内)メモの数だけAIが書く記憶。要点+「詳細は△△を見ろ」の付箋「テンプレ販売が進行中。詳細はリポの SALES_PROGRESS.md を必ず確認
◯◯.md(プロジェクト内)仕事の数だけ仕事の本体(正本)。付箋が指す先。リポと一緒にGitHubへ上がるSALES_PROGRESS.md=価格・タスク一覧・進捗の全部が書いてある
INDEX.md1つ(会社のみ)共有脳 knowledge\ の目次。MEMORY.mdとは別物で自動では読まれない「- 会社ルール.md — 経費・命名規則」「- リポの地図.md」の1行×テーマの数

AIが読む順番 — チャットを開始した瞬間に何が起きるか

あなたがフォルダ◯◯でチャットを開始 │ 《自動で読む》※あなたが何もしなくても毎回 ① 📄 ~/.claude/CLAUDE.md ────── ルール①(どのフォルダで起動しても必ず) ② 📄 起動フォルダのCLAUDE.md ── ルール②(そのフォルダにあれば。無ければスキップ) ③ 📄 MEMORY.md ────────────── 記憶の目次(必ず。中身のメモ全部ではなく目次だけ) │ ▼ 《必要になったら、AIが自分で開く》※会話の内容に応じて ・memory内の個別メモ(目次から選んで開く) └→ メモの付箋が指す先=プロジェクト内の本体.md を開く ・共有脳 knowledge\(ルール①に書いた1行に従い、git pull で最新化→参照。会社利用のみ)

図|AIが読む順番 — 自動は「ルール①ルール②→記憶の目次」の3つだけ。残りは必要な時にAIが開く

NotionやGoogle Driveと何が違う? — この仕組みの立ち位置(比較と併用)

「ナレッジならNotionやDriveでもいいのでは?」への答えを先に。原則は情報は、発生した場所の近くに正本を置く——AIを使うほど自然に溜まる情報(AIの記憶・スキル・プロジェクトの決まりごと)はこの仕組みへ、業務データ(顧客管理・議事録など)は業務ツールへ。役割が違うので、対立ではなく分担です。

この仕組み(GitHub+Markdown)Notion/Google Drive 等
得意な情報AIを使うほど自動で溜まるもの(記憶・スキル・プロジェクトの.md)。AIの作業中に生まれる情報を、人が転記せずそのまま資産化人が読み書きする業務データ(顧客管理・議事録・共同編集の文書)。gitやAIを使わない人も直接書ける
AIとの相性AIが直接・高速に読み書き(ただのテキストなので接続設定・API不要)。どのAI(Claude/Codex/Gemini…)でも読める=乗り換え自由・ロックインなしMCP連携等で読ませられるが、接続・認証の設定が要り、読み込みも重め。正本は各サービスの独自形式
コスト無料のまま人数無制限(Privateリポ・Organizationとも)チーム利用は1人あたり月額課金が基本(人数分だけ増える)
品質の守り承認制(PR→管理人)が標準装備=共有の知識が荒れない誰でも書ける(集まりやすい反面、荒れやすい)
併用はできる(排他ではない)この仕組みを持ったまま、Notion等を参照先のひとつとして足すのは普通にできます(CLAUDE.mdに「◯◯の情報はNotionの△△を参照」と1行書くだけ。共有脳と同じ“必要な時に読みに行く棚”が増えるイメージ)。注意は1つだけ——同じ知識の正本を2か所に置かないこと(片方だけ更新されて食い違う)。足すのは「棚」であって「控え」ではない、と覚えておけばOK。なおMarkdownはNotionにそのまま取り込めるので、後からNotionへ移る・広げる選択肢も常に残ります(逆方向は崩れやすい)=“どちらにも行ける側の岸”に正本を置いているのがこの仕組みです。

作る順番は4ステップ(上から順でOK)

この地図を、次の4つのステップで一つずつ埋めていきます。各ステップの頭に区切り(緑の帯)を置いてあるので、今どこを作っているか迷いません。

ステップやることこれで得られる状態
① ローカルを整えるPC内に記憶の置き場を作り、1か所にまとめるAIが自分や会社を思い出せる
② GitHubで消えないようにPCの外(GitHubの非公開リポ)に写しを持つPCが壊れても消えない
③ 自動化する写しを2時間ごと自動でGitHubへ送る手を動かさなくても守られる
④ セキュリティを強化鍵・秘密をAIとGitHubから守る安心して撮影・共有・仕事できる

①〜③までで「第二の脳」は完成します。④は本物の鍵(APIキー等)を扱い始めてから足す“強化”パートなので、最初は無理にやらなくてOKです。

STEP 1 / 4

ローカルを整える

まずPCの中に「記憶の置き場」を作り、散らばらないよう1か所にまとめます。ここが第二の脳の土台です。

第1章

記憶の正体 — ただのテキストファイル

Claude Codeの「メモリ(記憶)」は、特別な仕組みでも、AIの脳内でもありません。PCのフォルダに入った、ただの文章ファイルです。だから自分の目で開けるし、直せるし、消せます。

※混同注意——Claudeのアプリ側(チャット・Cowork)にも「メモリ」があり、名前は同じでも別の仕組みです。あちらはAnthropicのサーバー側に保存され、設定 > メモリから中身を確認・編集・削除します(2026年8月25日の更新でチャットとCowork〈クラウド実行〉の間で共有されるようになりました)。この教材で扱うClaude Codeの記憶は、あなたのPCの中の.mdファイル——クラウドや他のパソコンとは共有されません(公式に明記)。だからこそ、自分でバックアップを取る必要があるのがこの先の話です。

まず「.md」とは何か

ファイル名の末尾につく「種類ラベル」(拡張子)です。見慣れたものと同じ仕組み:

拡張子中身
.docxWordの文書
.xlsxExcelの表
.jpg画像
.mdただの文章ファイル(メモ帳でも開ける。「#を付けたら見出し」等の簡単な記号ルール=Markdownで書く)

フォルダとファイルの関係(最重要の基礎)

フォルダ=入れ物(箱)、ファイル=中身そのもの。ファイルの中にファイルは入れられません。記憶フォルダの中身はこうなっています:

memory フォルダ(引き出し) ├─ MEMORY.md ←目次(索引)。毎回まず最初に読む1枚 ├─ user_profile.md ←メモ本体(必要なときだけ開く) ├─ feedback_script_style.md ←メモ本体 └─ …メモは全部で60枚以上(増え続ける)

図1|フォルダの中身 — メモの紙が並んでいるだけ

MEMORY.md という1枚の紙に書いてある文章: - user_profile.md — 非エンジニアのコンテンツクリエイター… - feedback_script_style.md — 動画台本のスタイルガイド - reference_claude_config_backup.md — バックアップの場所と復元方法 …(1メモ=1行、が62行)

図2|そのうち1枚(MEMORY.md)の中身 — ただの箇条書き

図2の各行はただの文字です。ファイル名を「文字として」書いてあるだけで、ファイル本体は図1のとおり隣に並んでいます

たとえるならクラス名簿。名簿(MEMORY.md)は1枚だけで、生徒(メモ)が60人以上。名簿に「田中」と書いてあっても、田中さん本人が名簿の中にいるわけではない。

「MEMORY.md」だけは特別な1枚

62枚のメモは全部が対等ではありません。「MEMORY.md」という名前のファイルだけは特別で、Claude Codeにはチャットを始めるたびに、この1枚を必ず最初に読むという決まりがあります。中身は図2のとおり「どのメモに何が書いてあるか」の一覧=受付案内(索引)

AIはまずこの案内を読み、今の話題に関係するメモ(.md)だけを本棚(memoryフォルダ)から選んで開きます。残りの何十枚は、案内を見て必要になったときだけ開かれる——つまりMEMORY.mdは「どのファイルを読むべきかを教えるメモ」です。

仕様の補足本来この索引は「起動したフォルダごと」に別々のものが読まれます(→第4章)。ただしあなたの環境は設定で一本化済みなので、どのフォルダからClaude Codeを開いても、同じ MEMORY.md が読まれます

読み込みは「二段構え」— だから燃費がいい

AIは新しいチャットを始めるたびに目次(索引)だけを自動で読み、話題に関係するメモの本文だけをその都度開きます。

いつ読む何を量の目安
毎チャット開始時索引(MEMORY.md)だけ約70行=全体のわずか数%
必要なときだけ関係するメモの本文1〜数枚

この設計のおかげで、メモが増えても毎回のコスト(トークン=AIの読み書き量)はほぼ一定に保てます。しかも、この「目次に整理する」作業は、基本Claude Codeが自動でやってくれます(下の①②は"自動の動き")。人が気にかけるのは、放っておくと"死んだメモ"が混ざる③の「点検」だけ、と考えてOKです:

ルール理由
1テーマ=1ファイル、索引は1行厳守索引に本文を書くと毎回全部読むことになる
新テーマなら新ファイル、続きなら既存に追記追記なら索引の行数(=毎回のコスト)が増えない
索引が100行に達したら掃除点検行数より「死んだメモ(解決済み・期限切れ)」の混入が害。100は上限でなく点検アラーム

第2章

2種類の記録 — AIの手帳と、現場の作業ファイル

「メモリ」と「各プロジェクトフォルダの中の記録」は役割がまったく違います。

メモリ(AIの手帳)プロジェクト内の記録
中身あなたの好み・注意されたこと・各仕事が「どこにあって今どうなってるか」の要点その仕事の詳細・正本(価格、手順、進捗の全部)
いつ読む毎チャット開始時(索引)そのフォルダで作業するとき
誰のためAIが「前回までのあなた」を思い出すためフォルダを開いた人なら誰でも
たとえ持ち歩く手帳各現場に置いてある作業ファイル

実例:テンプレ販売の場合、メモリ側には「商品化が進行中。詳細はリポジトリのPRODUCT_PLAN.mdを必ず確認」と書いてあります。つまりメモリは場所を指す付箋で、本体は現場(プロジェクトフォルダ)にある。新しいチャットで「あの件の続きやろう」と言われたAIは、まず手帳(付箋)で思い出し、現場のファイル(本体)を開いて作業する——という流れです。

※もう1つ「CLAUDE.md」という記録もあります。これはあなたが書くルール(職場に貼る就業規則のようなもの)。メモリはAIが書く記録。どちらもただの.mdです。CLAUDE.mdの置き場所は2段——全案件で効かせたい普遍ルールは`~/.claude/CLAUDE.md`(=コーポレートの社則・どこでも効く)、その案件だけのルールは各プロジェクトの`CLAUDE.md`(=現場ルール)。一部だけ共有したい時は各プロジェクトから@importで共通ファイルを読み込む。なおCLAUDE.mdは公式が「200行未満」を目安としており、打ち切りではなく長いほど毎回の読み込み量を食い、指示の守られ方が落ちるという推奨(ハード上限は4MiBで通常は届かない)。⚠️よく混同されるが、「200行 または 25KB で打ち切り」はCLAUDE.mdではなくメモリの目次ファイル(MEMORY.md)の上限(公式に「この上限はMEMORY.mdにのみ適用される」と明記)。長くなったら、詳細は別ファイルに出して本体には「◯◯の時は△△.mdを読む」と一言リンクだけ書くと薄く保てる(=MEMORY.mdの索引と同じ考え方・必要な時だけ読まれる)。作業手順ならスキルに出すのがいちばん効く——スキルは起動時に説明文だけが読まれ、手順の本文は呼ばれたときにしか読まれないので、何十個作っても毎回のコストはほぼ増えない(→ skills.html)。@importは共有・重複排除用で、中身は毎回読み込まれる点だけ別物。なお@importClaude Code専用の記法(他のAIでは効かずただの文字列)。Codex等でも同じリポを使うなら、①の"普通の文章ポインタ"の方がツール非依存で安全

まとめ:3層で覚える — ルール・記録・記憶

ここまでの登場人物は、この3層で整理すると迷いません:

実体役割
ルールCLAUDE.md
(個人共通は~/.claude・会社共通は共有脳内・案件固有はプロジェクト内)
毎回読まれる厳選の場所。あなたが書く「こう動け」
記録プロジェクト内の.md
(コミット=チームの資産)
仕事の本体・正本。大事なことはmemory任せにせず、ここへ昇格して残す——担当が変わっても消えない
記憶memory
(本人の手帳・共有しない)
AIが会話から自動で覚える文脈。自動バックアップは保険として継続=コストゼロで“育てた分身”を守る

※「大事なことはmemoryだけに任せず.mdへ」と「memoryもバックアップする」は矛盾しません——前者は資産化(チームに残す)、後者は保険(自分の手帳を守る)で、役割が別です。

第3章

置き場所の設計 — コーポレートと事業部に分ける

記憶フォルダは C:\dev\(作業場)の中ではなく、C:\Users\<ユーザー名>\.claude\ にあります。これは意図的な分離です。

場所役割たとえ
C:\dev\事業部(現場)。プロジェクト・制作物各現場
C:\Users\…\.claude\コーポレート(会社全体)。Claude Codeの設定・記憶・スキル本社
たとえるなら動画編集ソフト(CapCutなど)。書き出した動画は自分の動画フォルダに保存するけれど、ソフト自身の設定・お気に入り・作業履歴は、ソフトが勝手に自分の置き場にしまう。あなたが保存先を選ぶのは「成果物」だけ。Claude Codeも同じで、成果物は dev、AI自身の設定・記憶は .claude に分かれる。

なぜ全部 dev の下にせず、.claude に分けるのか(シンプルに)

一言でいうと 「コーポレート(会社全体の共通資産・社則)と、各事業部(現場ごとの実務)を分ける」のと同じです。

たとえ場所中身
コーポレート~/.claude\全社共通の記憶・スキル・共通ルール(社則)。どの現場にも持っていく
各事業部c:\dev\各プロジェクトその案件のコード・.env・現場専用ルール。終われば片付ける

分ける理由は3つ:

  1. そもそもClaude Codeがそういう作り~/.claude はClaude自身の「家」で、どのフォルダから起動しても必ず最初に読む。だから"どこでも効いてほしい共通のもの"の指定席がここ。
  2. 巻き添え事故を防ぐ:プロジェクトは増減・引っ越しする。記憶をその中に置くと消した瞬間に頭脳ごと消える。分ければ作業場をいくら片付けても頭脳は無傷。
  3. 効く範囲(スコープ)で仕分けできる~/.claude=全案件に効く(日本語で返答・.env禁止)/各プロジェクト=その案件だけ。置き場所を変えるだけで"全体ルール"と"案件ルール"が自然に分かれる。

混ぜると事故ります:「プロジェクトごと消したらAIの記憶も消えた」「制作物のリポジトリにAIの設定が紛れ込んだ」。成果物と道具は別の場所——これが原則です。

→ この「コーポレート(.claude)/事業部(dev)」の分け方は、冒頭の「お手本の型」の図の上半分・下半分にそのまま対応しています。

第4章

ノートを1冊にする — 記憶の一本化

仕様:記憶は「起動フォルダごと」に別ノート

Claude Codeは「どのフォルダで起動したか」を仕事の単位とみなし、フォルダごとに別々の記憶ノートを作ります。起動フォルダのパスがそのままノートの名前になります:

c:\dev\claude で起動 → 記憶は projects\c--dev-claude\memory\ へ c:\dev で起動 → 記憶は projects\c--dev\memory\ へ ←別ノート! ※「c--dev-claude」は「c:\dev\claude」の記号をハイフンに置き換えただけの名前

エンジニアには合理的です(A社案件の記憶をB社案件に持ち込まない)。しかし個人が自分の事業で使うと、起動フォルダは日によって変わるので——「昨日教えたのに、今日は忘れてる」が起きます。忘れたのではなく、別のノートに書いてあるだけ

たとえるなら現場ごとに別のノートを持たされている新人。現場Aで教わったことは、現場Bのノートには書いていない。真面目にメモしているのに「忘れた」ように見える。

解決策:設定1行で「ノートは1冊」

C:\Users\<ユーザー名>\.claude\settings.json に1行足すだけです:

{ "autoMemoryDirectory": "~/.claude/projects/c--dev-claude/memory" }

意味は「どこで起動しても、記憶はこの1か所に書け」。実際、私たちの環境でも記憶が3か所に散らばりかけたため、この設定で一本化しました。すでに散らばっている場合は、各フォルダの.mdを集約先に移せばOK(AIに頼めばやってくれます)。

正直な注意一本化したのは「コーポレート側にある記憶ノート」だけで、第3章の「コーポレートと事業部の分離」はそのまま維持します。また、無関係な複数クライアントの案件を扱う人は、分けたまま(標準仕様)が正解のこともあります。ただし「分けたつもり」に注意——記憶が分かれる単位は「案件」ではなく「Claude Codeを開いた場所」なので、いつも親フォルダでまとめて開く使い方だと、分けない設定でも記憶は1つに混ざっていきます。分けたい人は「案件ごとにそのフォルダを開く」習慣とセットで。
上級:守秘が特に重い案件が“1つだけ”ある人へ(覚えなくてOK・必要になったらここを読む)普段は一本化(A)のまま、その案件のフォルダの中の .claude/settings.jsonautoMemoryDirectory を別の場所で1行書くと、その案件で開いた時だけ記憶が別ノートに隔離されます(設定の優先順位は公式仕様で「プロジェクト>ユーザー」=案件フォルダ側が勝つ)。これも「その案件はその案件のフォルダで開く」が前提。設定だけで完全な分離を保証する方法はなく、守秘契約が特に厳しい場合の確実な方法は、OSのユーザーアカウントやPC自体を分けることです。

STEP 2 / 4

GitHubで消えないようにする

PCの中だけだと、壊れたら終わり。PCの外(GitHubの非公開リポ)に写しを持って“消えない”状態にします。

第5章

消えない仕組み — GitHubバックアップ

原則:「PCの外にコピーが1つ」あれば防災は成立

「PCが壊れたら終わる」問題の解決策は、場所を変えることではなくPCの外に複製を持つこと。その置き場としてGitHub(Privateリポジトリ・無料)を使います。記憶フォルダ自体がGitの管理下にあり、「プッシュ」すればGitHubに写しが送られます。

たとえるなら宅配便。.mdファイル=荷物(これが送られる本体)、.gitフォルダ=配送伝票と履歴台帳(何をいつ送ったか・送り先)、GitHub=倉庫。「.gitだけがバックアップされる」のではなく、荷物(メモ全部)が倉庫に届く。

GitHubが同期サービスより強い理由:履歴

同期(Obsidian SyncやiCloud)は「今の状態」を写すだけなので、誤削除も同期されます。GitHubは履歴が全部残るので、3年前の状態にも戻れる。だから掃除(メモの削除)を気軽にやれる——消しても戻せるからです。

「ロックイン」を避ける=乗り換え自由でいる

ロックインとは、データがそのサービス専用の形になって離れられなくなること。数百ページ貯めた後では引っ越しが大仕事になり、値上げや仕様変更に従うしかない立場になります。ChatGPTやClaudeアプリ内蔵の「メモリ機能」も同じで、中身を持ち出せないので正本にしてはいけません

逆にMarkdownの記憶は他のAIにもそのまま引き継げます。たとえばCodexなら設定ファイル(AGENTS.md)に「最初にこの索引を読め」と1行書くだけ。中身(資産)は持ち運べて、仕組み(自動読み込み)だけツールごとに1行設定する——これが「正本はMarkdown」の実利です。

「どのAIでも使える」と「Claude Code専用」の切り分け

覚え方は一言:「中身(資産)はどのAIでも・自動で読む仕組みはツールごと」

どのAIでもOK(資産)Claude Code専用(仕組み)
記憶の中身✅ memory/共有ナレッジのMarkdownファイルそのもの
自動で読むMEMORY.md自動読みautoMemoryDirectory(一本化設定)
ルール✅ 書いてある内容は流用できるCLAUDE.mdの自動読み込み(Codexなら AGENTS.md が相当)・@import記法
道具・守り✅ .gitignore/GitHub/git pull・push❌ skills(/コマンド)・deny(settings.json)

=乗り換え・併用しても資産はゼロ円で持ち運べる。ツールを変えたら「自動で読ませる1行設定」だけをやり直す。

よくある誤解:スマホ(クラウド実行)でも記憶が読める? → 読めませんスマホ/Web版で「クラウド実行」を選ぶと、GitHubから作業対象のリポ1つを取り込んで動くだけで、あなたのPCの~/.claude(記憶・グローバルCLAUDE.md)は読まれません。「脳はGitHubにバックアップしてあるから読めるのでは?」もよくある誤解で、バックアップリポを勝手に取りに行く仕組みはない——バックアップは“同期”ではなく“保険”(保険箱に控えを預けてあるだけ)です。第二の脳の恩恵をフルに受けられるのは、今はローカルPCでの実行だけ。唯一の例外として、リポの中に置いたCLAUDE.mdはクラウド実行でも読まれます(公式仕様)=どの環境でも効かせたいルールはリポ内のCLAUDE.mdへ。

第6章

保存先の使い分け地図

判定は1問:「AIに管理・編集までさせたいか」

サービス役割のたとえAIから読み書き向いているもの
Google Keep受信箱✕ 読めない(Docsにコピーすれば読める)スマホで秒メモ
Notion書類棚○ 読み書き可(ロックイン気味)整理された情報・DB
Google Drive資料置き場△ 読める・既存の編集は不可議事録・PDF・完成品の資料
NotebookLM読書室—(保存場所ではない)資料を読ませて質問・要約
GitHub+Markdown正本の保管庫◎ 読み書き・整理・履歴すべて育て続ける自分の知識

直感的な言い換え:「これは資料か、自分の脳の一部か」。資料はDrive、脳の一部はGitHubへ。今Driveで回っているもの(議事録など)は引っ越し不要です——AIはDriveも読めるので。

「GitHubを Drive 代わりにできる?」— 大物はNG

GitHubはテキストなら実質無制限。だから「動画やデザインもここに置けば?」と思いがちですが、大きいファイルには向きません。理由は仕組みにあります。

GitHubが苦手なぜ
大きいファイル1ファイル100MB超で拒否(50MBで警告)。動画1本で簡単に超える
消しても軽くならないGitは全履歴を永久保存。テキストなら「消しても戻せる」が長所だが、動画やPSDだと削除しても履歴に残り続けてリポジトリが太る一方
閲覧・共有プレビュー・共有リンク・スマホ閲覧はDrive/Dropboxが圧倒的に上

つまりテキストの"脳"はGitHub、大物の"倉庫"はDrive。1つにまとめようとせず、役割で分けるのが正解です。

データ置き場所
メモ・ナレッジ・台本・契約書テンプレ・コードGitHub(第二の脳)
動画・録画素材・デザインデータ・大きいPDFGoogle Drive(倉庫)

100MB上限の目安:Markdownメモ=数千〜数万本/スクショPNG=30〜200枚/スライドPDF=5〜50個/音声1分=約1MB/動画は1分ほどで上限超え(文字は無限・画像OK・音声ギリギリ・動画は一発アウト)。※「1GB推奨」等は1リポジトリごとで、アカウント全体に上限はなく、リポジトリは無制限に作れる。なお公開/非公開は選べ、メモは必ずPrivate(Public=オープンソースは"世界に公開する"意図的な選択で、企業やSaaSの製品コードは大多数がPrivate)。

NotebookLMとの仕組みの違い(RAGとまるごと読み)

方式動き得意・不得意
NotebookLM(RAG)司書が「意味が近いページのコピー数枚」を持ってくる何万件でも速い/細切れなので文脈が切れる・計算は苦手・ソース数はプラン上限あり・ノートブック間の横断不可
Claude Code方式助手が本棚を自分で漁り、必要なファイルをまるごと読む文脈が濃い・常に最新・事前準備ゼロ/読む量だけトークンを使う

メモ数千ファイル程度まではClaude Code方式で十分。個人の第二の脳の規模でRAGの出番はまずありません。

表・数字データはどうする?

形式相性
スプレッドシート人間が日常的にいじる表の圧勝(計算式・グラフ・共同編集)。ただしPC上にファイルが無いのでGitHubには入らない
CSVGitHubと最高の相性。ただの文字なので履歴で「どの行が変わったか」まで見え、AIが集計・分析できる
Excel(.xlsx)保存はできるが「ただの荷物」扱い(履歴の中身が見えない)

Obsidianの正しい位置づけ

Obsidianは「保存場所」ではなく閲覧・執筆アプリです。GitHub=倉庫(保管と履歴)、Obsidian=机(同じフォルダを快適に読み書きするメガネ)——競合せず、併用できます。AIに読み書きさせるだけなら不要。「自分の目で眺めたい・つながりを地図で見たい」と思った日に、今のフォルダを指定して入れるだけです。

正直な注意Obsidianのスマホ⇔PC同期は有料(月数百円)か、壊れやすい無料の工作が必要。秒メモの速さはKeepが上。メモの流量が少ないうちは急いで導入する必要はありません。

大物を"脳"につなぐ — 栞(しおり)テク

PDF・パワポ・エクセル・動画は、AIが中身を読みにくく、検索にも引っかからず、リンクも付けられない——せっかくの資料が"脳の外"に取り残されます。そこで、その資料1つにつきMarkdownを1枚だけ添える。中身は「要約+タグ+元ファイルへのリンク」。これだけ。

得られることなぜ
AIが"要約だけ"読めば把握できる重いPDFを毎回全部読ませずに済む(=入力トークンの節約にも直結)
検索に引っかかるPDF本体は出てこなくても、栞のテキストはGitHub検索でヒット
つながりに載るタグ・リンクを書いたので関連資料から辿れる

位置づけは「大物はDriveに置き、GitHubには栞(テキストの目印)だけ残す」——上の"テキストの脳=GitHub/大物=Drive"の橋渡しです。環境をいじる必要はゼロ、遡って全部やる必要もない。「AIに見つけてほしい大事な資料が出てきた時だけ」1枚添えるで十分。

よくある誤解「リンクを貼れば、AIがその先のファイル(Driveのスライド等)の中身を読める」——読めません。リンクはただの文字=人間が元ファイルに飛ぶための目印にすぎず、AIが読むのはあなたが書いた"要約テキスト"の方。だから栞の本体は要約で、リンクはおまけ。=「AIに読めない重い資料を、読めるテキストに変換して置く」のが栞テクの本質です。(例外:ローカルのPDFはある程度読める/Drive等も専用連携[MCP]を繋げば読めることはあるが、それは"リンクを踏む"のとは別の特別な仕組み。栞テクは連携ゼロでも効くのがミソ。)

さらに上級(必要になったら足す2つ)

土台(GitHub+Markdown+索引)だけで第二の脳は十分に成立します。以下はFOMOで積み上げないのがプロの運用——複雑さと事故リスクを足すからです。

オプション何が良くなるいつ
グラフ(Obsidian等)メモ同士のつながり・迷子メモ・得意/手薄が"見える"探すのが面倒になってから(線は手で [[リンク]] を書いて初めて増える)
AI記憶(basic memory 等のMCP)索引すら指定せずAIが関連する過去を自動で思い出す後回し・上級。数千枚規模から。古い記憶を勝手に持ち出す"自己汚染"リスクあり

今の数十〜数百メモの規模では、手入れした索引(MEMORY.md)方式の方がむしろ制御が効いて優秀。足すなら栞テクだけが"今すぐ"価値が高い(環境変更ゼロ)。

STEP 3 / 4

自動化する

写しを手で送るのは必ず忘れます。2時間ごとに自動でGitHubへ送る仕組みにして、放置でも守られる状態にします。

第7章

毎日の運用 — 第二の脳を育てる

入力・保存・転記の役割分担

工程やり方ポイント
入力一番ラクな場所で(Keep等)思いついた瞬間の摩擦は、思いつき自体を殺す。3秒で書けることが正義
転記・整理AIの仕事KeepならまとめてGoogle Docsにコピー→AIがDrive経由で読んでMarkdown化→GitHubへ
保存(正本)Markdown+GitHub開いた形式・履歴つき・AIが読み書きできる

頻度は流量次第。週1の定期作業は流量が増えてからで、最初は「溜まったなと思ったとき」のトリガー式で十分です。仕組みを作りすぎないこと。

「ほぼ放置」でも回る理由 — 覚えておくことをゼロにする

掃除・転記・バックアップを「あなたが覚えておく作業」にしないのがコツ。中でもバックアップは"手でプッシュし忘れる"のが唯一にして最大の穴です。ここを自動化すれば、第二の脳は本当に放置で守られます。土台は「AIに読ませられる開いた形式で貯め続ける習慣」——道具選びより、この習慣が本体です。

バックアップの自動化 — OSのスケジューラに任せる

やることは「メモに変更があれば自動でGitHubへ送る」だけ。これをOSの定期実行機能(Windowsはタスクスケジューラ/Macはlaunchd/Linuxはcron)に、小さなスクリプトを登録して任せます。肝はアプリを1つも開いていなくてもOSが実行すること。ノートアプリ(Obsidian等)のプラグインは"そのアプリを開いている間だけ"なので、放置には向きません。

設計判断採用理由
間隔2時間ごと変更が無ければ何もしない=無駄なし。最悪でも2時間分しか失わない
対象*.md だけ「git add .」を使わない=.envや鍵が構造的に混入しない
ログ失敗だけ記録成功はGitHubのコミット履歴に残る。普段はログ空=順調の合図
気づき失敗時にデスクトップへ旗非エンジニアが一目で異常に気づける

OS cron と AI cron — 「判断が要るか」で使い分ける

定期実行には2種類あり、混同しがちです。線引きはシンプル:

OSのスケジューラ
(cron / launchd / タスクスケジューラ)
AIのcron
(Claude等を定期起動)
向く仕事判断が要らない決まった処理
バックアップ・同期・掃除
頭を使う処理
ニュース要約・議事録整理・下書き
コスト無料(スクリプトを走らせるだけ)毎回AI起動=トークン消費
依存OSが常に実行AIツールの起動が前提

だからバックアップはOSのスケジューラ、AIニュース日次ダイジェストのような頭を使う自動化はAIのcron。同じ理由でコードは手動コミット(意味ある単位で・壊れた状態を上げない)/メモはタイマー自動——この分け方は「自動対象のフォルダにメモだけを入れ、コードは入れない」だけで実現します。

今日の教訓自動バックアップを組むに、「守るべきメモが別フォルダに散らばっていないか」を必ず確認する。一本化したつもりでも、過去に別の場所で作ったメモが取り残されていることがある(実際、正本の外に数枚見つけて回収した)。自動化は"対象に入っているものしか守らない"——だから対象の棚卸しが先。

※この仕組みづくり自体が、講座の最初の課題としても機能します。「作りたいものがまだ無い」人でも、全員に確実に資産が残り、以降どのメモアプリを使っていても「いつでもClaude Codeで呼び出せる状態」になるからです。

STEP 4 / 4

セキュリティを強化する

本物の鍵(APIキー等)を扱い始めたら足す“強化”パート。鍵をAIとGitHubの両方から守ります。最初は無理にやらなくてOK。

第8章

APIキーの守り方 — 3つの別々の問い

「サーバーに鍵が行くのが気になる度」と「Bitwardenを使うか」は、実は別々の軸です。混ぜると混乱するので、APIキーの守りは3つの独立した問いに分けて考えます。

問い0:全員・無条件の最低ライン(土台)

下のどれを選んでも必ずやる共通の土台。ここだけで実際の事故の大半(GitHub流出・画面への映り込み)を防げます。①gitに上げない(.gitignore)/②チャットに鍵を貼らない/③従量課金の鍵は使用上限・予算アラート/④画面録画・共有に映さない。

問い1:AI(チャット→サーバー)に鍵を"見せる"か?

AIに見せた物はサーバーを通ります(第5章)。それをどう扱うか:

ラク版(既定)厳しめ版
やることAIが必要なら .env を読んでOKdenyで .env を封印+設定は config に分離。AIは鍵を一度も見ない
鍵はサーバーに行く?通ることがある行かない
向く人一人・低リスクな鍵(無料枠等)撮影/配信する人・お金が動く鍵

問い2:鍵を"どこに保管"するか?(問い1とは別の軸)

ローカル平文(.txt/メモ帳)暗号化金庫(Bitwarden無料〜/1Password)
中身手軽暗号化・クラウド同期でバックアップ兼用・共有/失効できる
弱点平文・PC故障で消える・共有/失効できない・属人化ほぼ無い

3つは直交している(自由に組み合わせられる)

問い1(見せる/見せない)と問い2(ローカル/金庫)は独立。掛け合わせの4象限:

保管=ローカル.txt保管=金庫
AIに見せる(ラク)手軽だが保管が脆い(低リスク鍵+問い0が前提なら可)手軽さ+バックアップ+脱属人。多くの人の現実解
AIに見せない(deny)鍵は守れるが保管が脆く釣り合いが悪い最も堅い。撮影する人・お金が動く鍵・企業
あなたの現在地(2026-07更新)もともとは「ローカル.txt × AIに見せる」(左上)でしたが、いまは「金庫(Bitwarden)× AIに見せない(deny)」=右下の最も堅い象限に到達済み。鍵はすべてBitwardenと各プロジェクトの.envへ移し、平文で鍵を置いていたフォルダは削除、settings.jsonのdenyで.env等をAIから封印しました。

第9章

deny封印のしくみ — AIに秘密を読ませない

第8章「問い1」の"厳しめ版"を、もう一段だけ詳しく。deny(ディナイ)は、AIに .env などの秘密ファイルを読ませないための、一番強い設定です。

権限は3階層。denyは最強の壁

リスト意味強さ
allow毎回聞かずに実行してよい
(どちらにも無い)その都度あなたに確認する
deny何があっても実行禁止最強

denyの決定的な点:会話中に「OK」と言っても覆せない。手動承認より上位の、絶対的な壁です。

どこに書くか

~/.claude/settings.json └─ "permissions": { "allow": [ …毎回聞かずOKなもの… ], "deny": [ …絶対禁止… ← ここに秘密ファイルの読み取り禁止を足す ] }

書き方の読み方

Read(//**/.env) ├─ Read … ファイルを読むツール(=AIが中身を見る動作) ├─ // … パソコン全体(★この2本が無いと「いま開いているフォルダの中」だけ) ├─ ** … フォルダが何階層深くても └─ .env … その名前のファイル → 「どこにある .env でも、AIに読ませない」
先頭の「//」を落とさない**/.env と書くと、守られるのはいま開いているフォルダの配下だけです(公式のdeny表に明記)。デスクトップや別ドライブに置いた .env は素通りします。//**/ と書いて初めて「パソコン全体(全ドライブ)」が対象になります。
※Windowsのパスは照合前に C:\Users\…/c/Users/… の形に直されます。特定のドライブだけなら //c/**/.env~/.ssh/** のような ~/ 始まりはホーム基準で正しく効くので、そのままで構いません。

何を止めて、何を止めないか(核心)

.envを読む場面denyの効果
チャットのAI(=Claude)会話中にReadで中身を見る止まる(秘密がサーバーに行かない)
プログラム(node …)実行時にdotenvで.envを読む止まらない(別人なので)

だから動画生成などの自動化はそのまま動く。止まるのは「AIが覗く」動作だけ。秘密でない設定は config に逃がしてあるので、AIも困りません。

足す行(既存は消さず追記)

"Read(//**/.env)", "Read(//**/.env.*)", "Edit(//**/.env*)", "Read(//**/*.pem)", "Read(//**/*.key)", "Read(//**/*credentials*.json)", "Read(//**/.credentials*)"
安心材料settings.json は GitHubバックアップ対象外なので、変更しても外には何も出ません。変更はローカルのみで、足した行を消せば完全に元通り。動作確認は動画を作らず「.envが実際にブロックされるか」を軽く見るだけです。

いつ・どう設定するか(手順)

denyは"全員が初日にやること"ではありません。「守るべき鍵を実際に扱い始めた段階」で導入します。最初から全員に課すと難しくて詰まるので、下の合図が出るまではラク版(AIが.envを読める)のまま学ぶのがコツ。

段階状態denyは?
Day1〜学習中まだ本物の鍵を扱っていない/無料枠中心不要(最低ラインだけでOK)
合図が出たら①画面録画・配信 ②お金が動く鍵 ③お客様データ ④会社の規定導入する

事前準備(封印前に3点チェック)

1. 鍵は .env に入っている(コードに直書きしていない) 2. .env は .gitignore で除外されている 3. .env に "秘密でない設定"(モード名等)を混ぜていない └ 混ざっていると封印後にAIが読めず不便 → config.json 等へ逃がす (不安なら封印にAIへ「.envに秘密以外の設定が入ってないか確認して」)

設定はAIに頼むのが一番かんたん(コピペ可)

~/.claude/settings.json の permissions.deny に、秘密ファイルの 読み取り禁止を追記して。既存の deny は消さないこと。まず settings.json を バックアップし、追記後に JSON が壊れていないか確認して。追記する行: "Read(//**/.env)", "Read(//**/.env.*)", "Edit(//**/.env*)", "Read(//**/*.pem)", "Read(//**/*.key)", "Read(//**/*credentials*.json)", "Read(//**/.credentials*)" ※先頭の「//」を落とさないこと(無いと、開いているフォルダの中しか守られない)

確認:AIに「うちの.envを読んでみて」と頼み、「ブロックされる/読めない」と返ればOK。反映されなければ Claude Code を再起動。

※念のため、作業フォルダの外(デスクトップなど)にダミーの .env を作って読ませてみると、// が効いているか確かめられます。読めてしまう場合は先頭の // が抜けています。

社員に配るなら、この設定だけでは足りませんここで書いた deny は ~/.claude/settings.json自分の箱に入ります。自分で書いたものは自分で消せます——本人が使うぶんには問題ありませんが、社員に配る場合は「消せる」こと自体が穴になります。
→ 会社として配る段階になったら、社員が触れない「会社の箱」に同じ内容を移します。そこに書いた deny は、社員がどの階層で許可を書いても外せません。手順は教材「会社としてClaude Codeを配るとき(管理人向け)」へ。

第10章

キーの通り道 — マスターから実行まで

APIキーを金庫(Bitwarden等)に移すと「キーは金庫だけにある」と思いがちですが、正確には2か所にあります。ここを誤解すると、片方を消して自動化を壊します。

2つの層(マスターと実働コピー)

実体役割誰が読む
マスターBitwarden(暗号化金庫)大元・調べる場所・バックアップあなた(人間)
実働コピー各プロジェクトの .env(KEY=値)プログラムが実行時に読むプログラム

流れ

Bitwarden(マスター) │ 新規プロジェクト作成/キー更新のとき、あなたがコピペ ▼ 各プロジェクトの .env GEMINI_API_KEY=xxxx ← gitに上げない+denyで封印 │ 実行時にプログラムが自動で読む ▼ node scripts/… が動く(自動化はそのまま)

だから「渡し方」は今までと同じ.envに直書き。変わるのは調べる場所が .txt から Bitwarden になるだけ。新しい習慣は「新規/更新のとき、値をBitwardenからコピーして .env に貼る」1つだけです。

今日学んだ教訓(重要)共有の"金庫フォルダ"を消す前は、「それを直接読んでいるコードが無いか」を必ず確認する。実際に調べたら、常用プロジェクトは全部それぞれの .env から読んでいて安全だったが、一部の使い捨てスクリプト(n8n関連)だけは金庫を直接読んでいた——これらは消す前に「もう使わないと確認」か「.env読みに書き換え」が必要。自分で作ったのでない/中身を確認していないものは消さない、が鉄則です。

まとめ

全部を合わせた実例 — 私のPCとGitHubの全体図

ここまでの4ステップ(ローカル整理→GitHub→自動化→セキュリティ)を、実際の環境(2026年7月時点)でそのまま見せます。左がPCの中、右がGitHub上のバックアップ先という対応です。

全体マップ

【PCの中】 【GitHub(すべてPrivate)】 📁 C:\dev\ ─── 事業部(=現場の成果物・プロジェクト) ├─ 📁 knowledge-datsu-zokujin\ ナレッジ → 各リポジトリ ├─ 📁 knowledge-shukatsu-candy\ → 各リポジトリ ├─ 📄 auto-backup-secondbrain.ps1 自動バックアップ道具 → ローカルのみ(OSが2hごと実行) └─ 📁 claude\ ─── ブランド運用プロジェクト ├─ 📁 datsuzokujin-program-curriculum\ → datsuzokujin-program-curriculum ├─ 📁 short-cut-movie-generator\ → 各プロジェクトのリポジトリ ├─ 📁 heic-converter\ → 各プロジェクトのリポジトリ └─ … 📁 C:\Users\110ry\.claude\ ─── コーポレート(=全プロジェクト共通の設定・記憶) ├─ 📄 CLAUDE.md 共通ルール(秘伝のタレ) → 控えは↓skillsへ(一緒に上がる) ├─ 📄 settings.json 設定(allowに鍵が紛れ得る)上げない(ローカルのみ)/deny控えは↓skillsへ ├─ 📄 .credentials.json ログイン情報上げない(壊れたら再ログイン) ├─ 📁 skills\ 自作スキル+config-snapshot.md → skills-ryota-ito (2hごと自動) └─ 📁 projects\c--dev-claude\ ← この長い名前はClaude Codeが自動で付ける(気にしなくてOK) └─ 📁 memory\ AIの記憶(一本化済) → memory-ryota-ito (2hごと自動) ├─ 📄 MEMORY.md 目次(この名前は固定) └─ 📄 ○○.md … 1メモ=1ファイル(自己紹介/会社のルール 等)

図3|全体対応図 — 「何がどこにあり、どこに写しがあるか」

※ memory / skills の「2hごと自動」は、C:\dev の auto-backup-secondbrain.ps1 をOSのタスクスケジューラが定期実行して実現(第7章)。失敗した時だけデスクトップに警告が出る。

📁 と 📄 の読み方(ここが控えの理由)📁 フォルダ=そのまま“箱(リポジトリ)”にできる → 箱ごとGitHubへ送れる(memory・skills がこれ)。📄 ファイル=単体では送れない。“箱の中”に入って初めて送れる。だから、リポの外に1枚だけ置かれている 📄 CLAUDE.md は、📁 skills の箱に“控え”を入れて一緒に送っている(=危ないからではなく、“箱の外のファイルだから”)。

「保存済み / 未保存」を一目で(コーポレート=.claude直下)

.claude直下そのものは.gitではありません。バックアップされているのは中の skills\ と memory\ が"それぞれ別リポジトリ"だから。=入れ子構造です。

C:\Users\110ry\.claude\ ← ここは .git じゃない(直下は未保存) ├─ settings.json ✕ 未保存 生ファイルは上げない(allowに鍵が紛れ得る) │ └─ deny規則の控え ✓ 確保 → skills内 config-snapshot.md ├─ .credentials.json ✕ 上げてはいけない 認証トークン=生の秘密 ├─ skills\ ✓ 別リポ(.git) → skills-ryota-ito └─ projects\c--dev-claude\memory\ ✓ 別リポ(.git) → memory-ryota-ito

図3.5|.claude直下の保存状況 — 未保存なのは実質 settings.json だけ。その"核(deny規則)"は控えで確保済み。

気づき当初は settings.json を丸ごと未保存にしていたが、PCが壊れると封印(deny規則)ごと消えるのは脆い。かといって鍵が紛れやすい生ファイルを同期するのも危険。解="核の20行(deny+hooks+主要設定)"だけを手書きの控え config-snapshot.md に残す(skillsリポに手動コミット)。丸ごと同期でも丸ごと放置でもない中間が正解。

なぜこの形なのか(理由の対応表)

設計理由
devと.claudeを分ける成果物と道具の分離。プロジェクト削除で記憶が消える事故を防ぐ(第3章)
記憶はc--dev-claudeに一本化起動フォルダごとに散らばる仕様への対策。設定1行(第4章)
バックアップ先を3系統に分ける記憶=memory-ryota-ito/スキル=skills-ryota-ito/事業の知識・制作物=各プロジェクトのリポジトリ。役割が違うものは箱も分ける
settings.jsonと.env/鍵は上げない鍵・認証情報はGitHubに絶対に置かない(Privateでも)。鍵の大元はBitwarden、実働は各.env(.gitignore済)
教材・ナレッジは1ファイル=1トピック記憶フォルダと同じ型。索引・リンク・追記優先の運用がどこでも効く

記憶フォルダの実物

C:\Users\110ry\.claude\projects\c--dev-claude\memory\ ├─ MEMORY.md ←索引(約70行・毎チャット自動で読む) └─ メモ ×60枚超 (合計でもわずか約700KB=写真1枚の5分の1) MEMORY.md の実際の中身(抜粋): ## User - user_profile.md — 非エンジニアのコンテンツクリエイター、CLI学習中 ## Reference - reference_claude_config_backup.md — バックアップの場所・復元・他AIへの流用手順 ## Feedback - feedback_memory_maintenance.md — メモリ運用ルール(索引100行で掃除点検…) ## Project - project_short_video_template_sales.md — ショート動画テンプレの商品化プラン…

図4|索引の実物 — User/Reference/Feedback/Projectの4分類

メモ1枚の実物(ラベル部+本文の2階建て)

--- name: feedback-memory-maintenance ←識別名 description: メモリ自体の運用ルール(索引100行で掃除点検…)←1行要約 metadata: type: feedback ←種類 --- ユーザーと合意したメモリ運用ルール(2026-07-05)。 - 索引が100行に達したら、死んだメモの掃除点検を提案する - 新規ファイルより既存の関連ファイルへの追記を優先し、 索引の行数=毎チャットの読み込みコストを増やさない Why: 索引は毎チャット読み込まれるため、行数がそのまま常時コストになる。 How to apply: 保存時にまず既存ファイルへの追記を検討してから新規作成を判断。

図5|メモの実物 — 「何があったか+Why+How to apply」の型

上級

第二の脳を“さらに強くする”上級オプション(栞・グラフ・AI記憶+健康診断・取り込み)

大前提:ここまでの土台(GitHub+Markdown+索引)で、第二の脳はもう十分です。以下は「必要になったら足す」もの——ツールが多い=優れている、ではありません。それぞれ複雑さ・維持コスト・事故リスクを足すので、流行に流されて積み上げないのがプロの運用です。

オプション何が良くなるいつやる
① 栞(しおり)テクPDF・スライド等の重い資料がAI・検索・つながりに載る今すぐ・環境変更ゼロ ◎(一番コスパ良い)
② 健康診断(lint)壊れたリンク・孤立メモ・古い記述をAIに探させ、脳の腐敗を防ぐたまに頼むだけ・ツール不要 ◎
③ 取り込み(ingest)記事・資料をAIに“知識の型”へ整理させて蓄積(入れる判断は人)読む量が増えたら・頼み方だけ
④ グラフ(Obsidian等)メモ同士のつながり・迷子メモ・得意/手薄が“見える”探すのが面倒になってから
⑤ AI記憶(MCPの記憶ツール)AIが“自分から”過去を思い出す後回し・上級(自己汚染リスクあり)

① 栞テク — 大物資料に“目印のMarkdown1枚”を添える

PDF・パワポ・エクセルはAIが中身を読みにくく、検索にも引っかからない=せっかくの資料が“脳の外”に取り残されます。そこで資料1つにつき、「要約+タグ+元ファイルへのリンク」だけのMarkdownを1枚添える。得られるのは3つ——AIが要約だけ読めば把握できる(重いPDFを毎回読ませない=トークン節約)/検索に引っかかる/タグ・リンクでつながりに載る。

よくある誤解「リンクを貼れば、AIがその先のファイル(Driveのスライド等)の中身を読める」——読めません。リンクはただの文字で、人間が元ファイルへ飛ぶための目印。AIが読むのは“あなたが書いた要約テキスト”の方です。つまり栞テクの本質は「AIに読めない重い資料を、読めるテキスト(要約)に変換して置く」こと。既存資料を遡って全部やる必要はなく、「AIに見つけてほしい大事な資料が出てきた時だけ」1枚添えれば十分(インストール不要・環境変更ゼロ)。

② 健康診断(lint)— たまに頼み方1文、ツールは不要

メモが溜まるほど、壊れたリンク・どこからも参照されない孤立メモ・古くなった記述が静かに増えます。これをAIに定期的に探させる——「memoryフォルダの健康診断をして。壊れたリンク/孤立メモ/古くなっていそうな記述/言及だけあって本体がないトピックを一覧にして」と頼むだけです。出てきた候補を直す・消す・統合するのは人(自動修正はさせない=古い記憶で上書きされる“自己汚染”を防ぐ)。

③ 取り込み(ingest)— 読んだ記事を“知識の型”にして溜める

記事・論文・資料を読んだらAIに渡して「知識リポの型(1テーマ1ファイル・読めば完結・タグ+関連リンク)に整理して」と頼み、中身を自分で確認してからリポに入れる。読んだものが流れずに資産になります。自動ファイリングはしないのがコツ——海外で話題の“1記事から自動で何ページも生成”系は、ノイズが複利で増えるのと裏表です。候補作りはAI・入れる判断は人——この一手間が品質の担保。大物(PDF等)は①栞テクと併用します。

なぜ「門番」と「掃除」が要るのか — 入れすぎのリスク

やみくもに入れることのリスクは、感覚論ではなく研究で確認されています。ただのメモアプリなら、入れすぎても「読まないメモが増える」だけ。でもAIに読ませる前提の第二の脳では、溜めたメモをAIが読んで答えを作るので、古い情報・未検証のメモ・他人の受け売りが、いつの間にか「自分の知識」として答えに混ざり始めます。入れた量は資産に見えて、“AIの答えを濁らせる負債”にもなる

研究の裏付け:2026年2月公開の研究「Long Context, Less Focus」は、最新モデル群を1K〜256Kトークン・37万問超で検証し、「文脈が長くなるほど、パーソナライズの質が一貫して劣化する」と報告(原因は“注意の希釈”)。Claudeの開発元Anthropicも「コンテキストは有限資源。増やすほど想起精度は下がる」と公式に明言しており、Claude Codeの記憶機能自体が“索引から必要な分だけ読む”設計になっています。

ビッグデータの「多いほど良い」と矛盾しない?

矛盾しません。あちらは倉庫と集計の世界——サンプルが多いほどノイズは平均化されて、パターンが安定します。こちらは作業机と注意の世界——AIは1件ずつ“注意”で読むので、無関係な情報が増えるほど必要な情報への注意が薄まる。集計はノイズを平均で消せますが、想起(あの件どうだった?)は1個の間違いがそのまま答えに混ざります。データ界隈にも「データスワンプ」(門番なしで溜めたデータの湖は沼になる)という同じ警句があり、実務のデータ基盤は必ず「入り口の品質管理・必要な部分だけ抽出・定期クレンジング」をやっています——上の②健康診断・③取り込みは、その個人版です。=保存は無制限でよい(倉庫)。読ませるのは選別する(机)。入れる判断と掃除は人がやる。

④グラフと⑤AI記憶 — 焦らなくていい2つ

④グラフ:メモ同士を[[リンク]]でつなぐと相関図になり、忘れていたつながり・迷子メモ・知識の手薄な領域が“見える”ようになります。ただし線は自分で手でリンクを書いて初めて増えるので、メモが数十〜数百枚の今はフォルダ+索引で十分。Obsidianは保存場所ではなく“閲覧アプリ”(同じMarkdownを開くだけ)なので、いつでも後付けできてロックインもありません。

⑤AI記憶(MCPの記憶ツール):索引すら指定せずAIが関連する過去を自動で引っ張る仕組み。ただし効いてくるのは数千枚規模からで、古い・間違った記憶を勝手に持ち出す“自己汚染”の事故リスクもあるため後回しが正解。今の「索引(MEMORY.md)を毎回自動で読み、関連メモをAIが自分で開く」方式は、軽量な“想起”としてすでに成立しています。

付録

用語ミニ辞典

拡張子(.md .docx など)
ファイル名の末尾につく「種類ラベル」。.mdはただの文章ファイル。
Markdown
「#を付けたら見出し」等のかんたんな記号ルールで書く文章形式。どのアプリ・どのAIでも読める。
リポジトリ
GitHub上の「プロジェクト1個分の保管箱」。履歴ごと保管される。Private=自分だけが見られる。
プッシュ
PC側の変更をGitHub(倉庫)へ送ること。これがバックアップの実行にあたる。
索引(MEMORY.md)
メモの目次ファイル。1メモ=1行。毎チャット開始時にAIが自動で読む。
トークン
AIの読み書き量の単位。読む文章が長いほど消費する=燃費の正体。
RAG
文書を細切れにして「意味が近い断片」だけAIに渡す検索方式。NotebookLMがこの系統。
ロックイン
データがサービス専用の形になり、離れられなくなること。正本を置く場所では避ける。
正本(マスター)
いちばん信頼できる大元のデータ。ここではMarkdown+GitHubに置く方針。